【遊戯王OCGストーリー】アルバスの落胤【教導・鉄獣戦線・スプリガンズ・烙印】

外界から隔絶された大陸。

その地では古より巨大な異次元の門“ホール”が出現し、人々や土地を飲み込む現象が発生していました。

しかし“ホール”は人々を飲み込む厄災であるのみならず、極稀に人智を越えた恩寵とも言うべき力をその地にもたらす事もありました。

ある時は未知なる暗黒物質。

またある時は、超文明の遺物と思わしきテクノロジー。

そして時には生命でさえも……。

大陸に生きる人々は限られた資源を守るために戦い、奪い合い、いつしか生き残るために種というくくりで団結していきました。

寄りあった人々によって国や組織が乱立し、群雄割拠のまま年月は流れてゆきました。

《episode.0『閉ざされた大地』》

古来より大陸には多くの獣人たちの部族が存在しておりました。

武勇と誇りを重んじる気質は似通っていながら、食糧問題・縄張り争いに端を発する部族間の争いは憎しみの連鎖を生み出しました。

「自身の部族を守るために相手と戦う。正義のための戦いだ。」

そんな考えが自身の過ちを正当化させ、血で血を洗う醜い争いとなったのです。

部族同士の争いはやがて、部族内での異端を排斥することにも繋がります。

片翼を持たない少年「シュライグ」、同胞を手にかけてしまった「ルガル」、生きるために盗みを繰り返した「フェリジット」、その妹の「キット」。

彼らは皆、自らの部族を追われた者たちでした。

死を待つばかりだった彼らは、自身のいた部族からの逃亡の先で奇跡的に巡り合い、生き抜くために部族の垣根を越えて手を取り合います。

憎しみ合うばかりだった各部族も、本当は違いなんて殆どなく、皆ただ懸命に生きたい人々だったのです。

そんな彼らの元へ少しずつ人々は集い、いつしか群れと呼べるほどの集団になりました。

シュライグ、ルガル、フェリジットの3人が中心となって、部族の壁を越えて手を取り合う組織を作ります。

様々な部族の集合体である彼らは部族を意味する「トライブ」と旅団を意味する「ブリゲード」を合わせて「トライブリゲード」と名乗ります。

旅の果てに、遠き鉄の国で安らぎを得た彼らでしたが、そこに極北の大国「ドラグマ」による侵攻の知らせが届きます。

かつて彼らを排斥した部族からのメッセージ。

部族を越えて手を取り合うことの大切さを知った彼らは、過去を赦し、再び立ち上がります。

協力者の力を借りて、再び故郷に足を踏み入れるトライブリゲード。

「ドラグマ」に反抗を続ける部族達にトライブリゲードは同盟を働きかけます。

かつて自身を排斥した人々のために前線で身を削って戦う彼らを見て、憎しみ合っていた部族もやがて手を取り合って巨大な連合へと変わっていきます。

かつて独りだった少年と少女たちは、仲間を守るために戦う雄々しき将となりました。

人々は赦すことができる。手を取り合うことができる。

彼らは「ドラグマ」に囚われた仲間を奪還するために捕虜奪還作戦を決行します。

「侵略の徒よ、戦場に鉄獣の咆哮を聞け!!」

《episode.Ⅰ 『教導(ドラグマ)』》

“深淵”と呼ばれる大陸の極北に位置する大国「教導国家ドラグマ」。

ある時、教導国家ドラグマに巨大なホールが出現します。

聖痕を身に宿し、教導国家ドラグマを守護する聖女であるフルルドリス、エクレシア率いるドラグマの騎士団は教導国家ドラグマの最高司令官であるマクシムス・ドラグマの命令でホールが出現した現場へと向かいます。

天空にできた裂け目。天の底から焔を纏って現れたのは強大な力を持ったドラゴン「灰燼竜バスタード」。

バスタードの降り立った大地は砕け、周囲の建造物は衝撃で崩れ落ち、街は焔に包まれました。

ドラグマの信徒で構成される教導軍の騎士長であり、教会における3つの神器「剣・盾・鎧」を持つフルルドリスは教導国家ドラグマを守るためにバスタードと戦闘を行います。

バスタードはフルルドリスの放った攻撃で甚大なダメージを受け、地へと墜ちます。

しかし、落ちた先に強大な力を持ったドラゴンの姿はありませんでした。

「教導の聖女エクレシア」は討ち取られたドラゴンが落ちた先で、瓦礫の中で苦しむ1人の褐色の少年と出会います。

「アルバスの落胤」

彼こそがフルルドリスによって討ち取られた灰燼竜バスタードであり、教導国家ドラグマを危機に陥れた天底の使徒。

少年と少女が出会った時、2人の冒険の物語が幕を開けるのです。

《episode.Ⅱ 『鉄獣戦線(トライブリゲード)』》

瓦礫の中で苦しむ褐色の少年。

「アルバスの落胤」

その姿は先程まで教導国家ドラグマを危機に陥れていたドラゴンには思えないほど痛々しいものでした。

なぜ、彼のような少年が教導国家ドラグマと戦うことになったのか?

なぜ、突如現れたホールから彼が龍の姿で現れたのか?

そして、彼は一体何者であるのか?

教導の聖女エクレシアは少年に問いかけます。

「あなたはどうして戦うのですか?」

アルバスの落胤はフルルドリスによって負わされた傷口を抑えて、痛みに耐えながら答えます。

「わからない。俺は、何もわからないから戦っている。自分を守るために。」

アルバスの落胤の答えは意外なものでした。

彼は自らの記憶を失っていました。

何も分からないからこそ、自らに降りかかる火の粉を振り払わざるを得なかったのです。

その事を知ったエクレシアは傷ついた彼を救おうと手を伸ばします。

しかし、その時。

ドラグマからの増援であるハッシャーシーン・ドラグマの部隊が到着します。

更にホールに対するドラグマの動きを察知していたトライブリゲードも駆けつけます。

奇しくも同時に到着したことで睨み合うこととなった両者。

傷ついた彼を刺激しないように両者を制止するエクレシアでしたが、邪教徒を擁護する者は聖女たり得ないとして、ハッシャーシーン・ドラグマはエクレシアの聖痕を奪い取ります。

聖痕を奪う際に空間に生じた穴。

それこそがアルバスの落胤が現れた穴と同じ形「ホール」でした。

アルバスの落胤は自身を救おうとしたエクレシアを助けるために、もう一度ドラゴンへと姿を変えます。

「痕喰竜ブリガンド」

彼はエクレシアを守るために力を使ったことで、エクレシアの聖痕と同じ額に十字の傷を持った新たな姿へと進化します。

かつて迫害され、自らの故郷を追われたシュライグ達トライブリゲードはアルバスの落胤とエクレシアに自らの過去を重ねます。

「この2人を守るぞ」

トライブリゲードは2人を守るためにハッシャーシーン・ドラグマとの戦闘を開始します。

灰燼竜バスタードを一度討ち取ったフルルドリスもハッシャーシーン・ドラグマに遅れて合流しますが、そこに凶鳥のシュライグが強襲を仕掛けます。

互いの仮面が砕けるほど激しい打ち合いが続きましたが、ゲリラ戦闘の経験が豊富なトライブリゲードは無事2人を連れて撤退に成功するのでした。

戦場から少し離れた先。

気を失ったままのエクレシアは暖かな陽の光の中で、徒花のフェリジットに介抱されます。

アルバスの落胤は自身とエクレシアを救った「トライブリゲード・凶鳥のシュライグ」から小さな鳥型のロボットを手渡されます。

「これからの旅路でこいつが必要な時がくるだろう。持っていくと良い。君たちの無事を祈る」

ドラグマから追われるものとなったエクレシアとアルバスの落胤は新たな地に向けて旅を始めるのです。

《episode.Ⅲ 『スプリガンズ』》

ハッシャーシーン・ドラグマと戦闘を行うことになり、ドラグマから追われるものとなったエクレシアとアルバスの落胤。

トライブリゲードに救われた2人は追っ手の来ない新たな地へ向けて旅に出ます。

足を踏み入れたのは広大な砂漠地帯。

年月を経て崩れかけている巨大な塔、砂の中から見える巨大生物の骨、砂と岩が果てしなく続くこの場所は「大砂海ゴールド・ゴルゴンダ」。

古くよりこの地を支配する強大な力を持った大蛇「覇蛇大公ゴルゴンダ」と同じ名を持っています。

砂漠地帯を進む彼らは遠方より何者かに捕捉されます。

「シンニュウシャハッケン」

2人の周りを飛ぶ鳥型のロボットは友軍判定が出ていますが、深いことは気にしません。

怪しいものはとりあえず確保です!

突如現れた弾丸のような姿をしたロボット達。

スプリガンズという種族の彼らはアルバスの落胤とエクレシアを拘束します。

「なんで捕まえるんですか!離してください!」

拘束の解除を訴えるエクレシアでしたが、侵入者を解放するわけにもいかないスプリガンズ達も対応に困ってしまいます。

シュライグに渡された鳥型のロボットは味方判定であったため、拘束されずに2人の周りをぐるぐると飛びまわるのでした。

そんな時、現れたのは獣人の少女。

恩人と似た姿をした少女はシュライグの鳥型ロボットに気づき、拘束されたアルバスの落胤とエクレシアを解放します。

彼女の名前はトライブリゲード・キット。

ドラグマとの戦いで傷ついたエクレシアの介抱をしたトライブリゲード・徒花のフェリジットの妹でした。

トライブリゲードとスプリガンズは協力関係にあるようでしたが、いきなりの侵入者を仲間だと認めることはできません。

「入団テストヲ!開始スル!」

アルバスの落胤とエクレシアは彼らスプリガンズと争うつもりはありませんでしたが、仲間と認めてもらうために彼らのテストに挑戦することとなりました。

アルバスの落胤はトライブリゲード・キットの協力で新たな姿「鉄駆竜スプリンド」に姿を変え、スプリガンズとのチェイスに挑みます!

スプリガンズは自身を弾丸に変え、スプリガンズシップ・エクスブロウラーから射出、爆撃を行います。

逃げるアルバスの落胤とエクレシア。

彼らの冒険はいったいどうなってしまうのでしょうか?

同時刻。

教導国家ドラグマでは教導の大神祇官が新たな奇跡を行使します。

「今こそ福音の時、来たれり」

「導き」が「凶い」に変わった時、彼らの運命がどうなるか、今はまだ、誰にもわかりません。

《episode.Ⅳ 『烙印』》

まるで暴風雨のような激しいラッシュでした。何とかスプリガンズの猛攻を耐えきったエクレシアとアルバスの落胤。

「合格ーッッ!!」

無事、スプリガンズのテストに合格し、仲間と認められた2人。

いざ仲間と認めたらスプリガンズ達は飲めや歌えや大騒ぎ。

彼らの集めた沢山の財宝に囲まれて、皆が笑顔のお祭り騒ぎ。

逃げ延びた先で新たな仲間もできてハッピーエンド!

しかし、そう思ったのも束の間。

大砂海ゴールド・ゴルゴンダに轟く強大な地響き。

突如、大砂海ゴールド・ゴルゴンダに大きな渦ができたかと思えば、そこから現れたのはまるで天まで届くかのような巨大な大蛇でした。

その名は「覇蛇大公ゴルゴンダ」。

この砂漠地帯を統べる王。

襲い来るゴルゴンダからエクレシアを守るために、アルバスの落胤が戦おうとしたその時、発生したホールの干渉か、アルバスの落胤は制御不可能な力を発現させます。

ラテン語で「白」を意味するアルバス。

父親に認知されない私生児のことを指す「落胤」と、火傷跡によって印を残す「烙印」。

2つの意味を持つ「アルバスの落胤」。

白の烙印の力を解放した彼は燃え盛る焔の如き竜へと姿を変えます。

「烙印竜アルビオン」

自身に制御できぬほどの強大な力。

彼は自身の何十倍もの大きさを誇る覇蛇大公ゴルゴンダへ攻撃を仕掛けます。

鳴り響く戦闘の轟音。

アルバスの落胤は完全に意識を無くし、暴走するドラゴンへと変化してしまいました。

キットは新たな試作品を用いて戦いを止めようとするも叶わず。

強大な力のぶつかり合いに近づくことすらできません。

誰にも止められない力と力の衝突。

諦めかけた、その時。

天を衝く雷がゴルゴンダの巨体を貫きます。

「凶い」があれば「導き」もある。

見上げるとそこには無くなったと思っていた「導き」があったのでした。

《episode.Ⅴ 『アルビオン』》

ゴルゴンダを貫いた雷。

何度も戦いの度に見てきた光。

エクレシア達の窮地を救った、その正体は教導の騎士フルルドリス。

フルルドリスは聖痕の力を封じ、騎士団の部下であったテオとアディンと共にエクレシアを追って大砂海ゴールド・ゴルゴンダへと駆けつけたのでした。

ゴルゴンダはフルルドリスの放った雷撃で地に伏します。

しかし、暴走する烙印竜アルビオンは止まりません。

フルルドリスが剣を構えたその時、エクレシアは武器も構えず彼の前へと歩み寄ります。

「大丈夫。大丈夫だよ。」

エクレシアは烙印竜アルビオンの中にいるアルバスの落胤へと声をかけます。

「一緒に、帰ろう。」

エクレシアは手を広げ、彼を受け入れます。

烙印竜アルビオンの焔の如く深紅の肉体は燃え尽きた炭のように黒へと変化していきます。

エクレシアの声を聞いたアルバスの落胤は暴走する力を抑え、自身を取り戻すのでした。

たとえ困難に直面しても、2人の物語はまだこれからも続くのです。

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